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広くなったニュー将軍店内(ビル3階)2011-6-27 撮影
工事中の屋上テラス(ビル5階)2011-6-27 撮影
ユリア プペラ(Julia Pupella)さんは、マカッサルの日本食レストラン・ニュー将軍を24年前に設立、今日まで営業を続けている。本誌では10年以上も前に「ニュー将軍物語」として紹介させて頂いたことがある。このたび、2011年4月3日付けの地元紙、Fajar Online にユリアさんのインタビュー記事「事業の成功の鍵 熱意と誠実さ」が掲載された。ここにその要点をご紹介する。マカッサルの商法の一端を垣間見る思いがする。
「 」内は記事からの引用部分である。写真も Fajar Online による。
「ユリアさんは、レストラン事業を起こし、その後、他分野へも業容を拡大し脚光を浴びている。彼女はビジネスの世界について、父から学んだという。彼女が16歳になったころから父についてビジネスの勉強を始めたという。」 ユリアさんのお父さんはテオ・プペラ(Theo Pupella)氏(故人)で、1970-80年代には、少なくとも17の企業を経営していた。その中には、Grand Hotel, Pasanggrahan Hotel, Wisma Amala, Pulau Kayangan などが含まれる。ユリアさんも名門ハサヌディン大学経済学部のご出身、レストラン・ニュー将軍のほか、食料品店アスカ(ASKA)、Kapoposang Island Resort(観光)、Julia Property (不動産)、Tokyo Rice Burger Indonesia(レストラン)、PT .Makassar Tirta Wisata (Makassar Diving Center)(観光)、PT.Cathay Express (旅行代理店)などのオーナーである。様々な事業を扱っているが、相互に関連がある。ユリアさんの表現では、“木の実は木の幹から遠くへは落ちない”、これもお父さんの教えである。
「一つの企業を経営するためには、特にレストランの場合には、信念と熱意が必要である。この業界は、世間一般に言われるとおり水商売である。大海のなかの、小さな水滴のような存在である。満潮もあれば、干潮のときもある。大勢のお客さんが押し掛けてくれる大波もあれば、まったくお客が入らない凪もある。従って、どんな状態であっても、店が持ち堪えることができるような戦略が必要である。ひとたび事業を始めたら後戻りすることなど考えてはいけない。前進あるのみである。これが成功の鍵である。目標を設定し、どうしたら成功するかなど考えないほうがよい。経営の要諦は潮の流れに身を任せること。嘆いていても始まらない。」
“後戻りするな、前進あるのみ”は古くから勇猛果敢な部族として知られた、マカッサル・スピリッツなのかもしれない。マカッサルの市章の下には、次のように書かれていることを思い出した。
Sekali Layar Terkembang
Pantang Biduk Surut Ke Pantai
(ひとたび出航を決断したら前進あるのみ)
ユリアさんは、上の写真のとおりマカッサル族ではないが、この地のビジネス・スタイルなのかも知れない。ひとたび出航したら引き返すなとは、現代の、安全第一主義(?)の日本人の考えとは異なる気がする。
ユリアさんの話はさらに続く。 「私はどうしたら成功するかなどと考えたことはない。成功の裏では大変な努力があることを知らなければならない。楽して成功をする方法などない。私はこの事業を始めたときから熱意と誠意を尽くしてきた。そして、ほかの業者に対し妬んだりしたことも一度もない。そうではなく、どうしたら事業を前進させることができるかを考える。そうすれ結果がついてくる。」
「日本食レストラン ニュー将軍を立ち上げた初期のころは、とても苦しい時期だった。戦略上の一等地であるマカッサルの海岸ペンギブール通りに店を構えたが、3年間はほとんど客が入らなかった。入っても指で数えるほどであった。5年たっても状況は変わらず、苦しかったが、おいしい品質の高い食事を提供すれば、必ずお客は来てくれると信じていたから、望みは捨てなかった。」
「このレストランもすでに21年を経過するが、ゆっくりではあるが、それが実証されつつある。厳しい環境のなか、21年間も店を張って頑張るということは容易なことではない。頑張ってここまで頑張れたのは、マカッサルの他のレストランとの差別化をはかってきたからである。マカッサルでは魚料理は日常的なものである。だから、マカッサルの人達に、非日常的な日本食を味わってもらいたい。発展著しいマカッサル市民は、日本食がどんな食事であるか、一度は味わってみたいだろう。レストラン・ニュー将軍は日本食で勝負する。」 (外観写真:2011-6-27 撮影)
極めて厳しい軽軽環境の中、彼女のハードワーク、熱意、仲間との強い絆に支えられてユリアさんの挑戦が続く。(文責 脇田清之)
掲載:2011-4-20
追記:2011-4-27
写真追加:2011-7-14
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