総目次 |
戦前、蘭印時代からの夢であった「スラウェシ縦貫鉄道」の建設が動き出しています。このプロジェクトは三つの段階に分かれていて、第1段階では南スラウェシ州のマカッサルーパレパレ間、第2段階ではパレパレから中央スラウェシのマムジュ (Mamuju) 間、第3段階ではマムジュから北スラウェシへ至り、最終的にスラウェシ島縦貫鉄道が通貫する計画です。
第一段階(マカッサルーパレパレ間)建設の起工式は2014年8月18日に行われ、2015年11月13日には最初のレールの設置式が行われました。マカッサル、パレパレ両都市部分は用地買収などで遅れていますが、両都市の中間の田園地帯ではレールの敷設が進み、2017年11月10日には一部区間の試運転も始まっています。2021年末時点の報道では2022年中には一部区間の商業運転を開始するとのことです。第1段階の南スラウェシの区間では、マカッサルからパレパレ間だけでなく、将来はパレパレを経由して東へ向かいルウ(Luwu)、マリリ(Malili)、ソロアコ方面へ向かう路線、またマカッサルから南下して海岸沿いにブルクンバ、さらにボネ湾沿いに北上してワタンポネ(Watanpone)まで延長させるプランもあるようです。現在インターネット上で公開されている資料から建設の現況を覗いてみました。
大まかにみて、マカッサル、パレパレに近い部分は用地買収などで大幅に工事が遅れていますが、中間の田園地帯は順調に工事が進んでいるようです。
南スラウェシ鉄道は工事が進んでいる一部区間(Marros と Barruの区間 約71 km)の運行を2022年10月に開始すると、同時に貨物の輸送(Tonasa-Garongkong 間 57 km)も開始予定とのこと。 (2022年6月4日報道)
(出典:https://finance.detik.com/infrastruktur/d-6109667/3-fakta-jalur-kereta-api-pertama-sulawesi-yang-nyaris-rampung)
(Wikipedia "Jalur kereta api Trans-Sulawesi"、"Jalur kereta api Makassar-Parepare" から抜粋しました)
第一段階である南スラウェシ地域のパレパレーマカッサル間については、都市化の進んだマカッサル、パレパレ両都市部の区間を除いた中間の田園地帯の工事を先行させ、2022年内にも運行を開始したい意向のようです。 ルート上には TONASA (Kabupaten Pangkep), BOSOWA (Kabupaten Maros), CONCH (Kabupaten Barru) とセメント会社があり、3社がそれぞれ引き込み線を持っていることから、この鉄道は旅客輸送と貨物輸送を兼ねた路線のように思われます。
出典:https://www.len.co.id/len-bangun-jaringan-jalur-kereta-api-pertama-di-sulawesi/
上の図面で右端がマカッサル、左橋がパレパレになります。
マカッサル側から北のパレパレに向けて、インターネットによって収集した映像などを並べてみました。
km 0+000 (Makassar から北へ向けて)これとは異なる場所に決まる可能性もありそうです。用地買収の問題でしょうか?
場所:Untia, Birihgkanaya, Makassar, km7+600
場所:Ma'rumpa, Marusu, Maros, km 14.447km
2023年内には、ここが起点と(南端)になり、マカッサルに一番
近い駅となるようです。写真の左方向に空港があります。
https://www.liputan6.com/regional/read/4767767/ketika-proyek-kereta-api-sulsel-terkendala-masalah-pembebasan-lahan-di-maros
場所:Pallantikang, Maros Baru, Maros, km 18+288
2022年内の運行開始時点ではここが起点と(南端)になり、マカッサルに一番
近い駅となるようです。
場所:Salenrang, Bontoa, Maros, km 30+200
場所:Kabba, Minasatene, Pangkajene dan Kepulauan, km 36+900
場所:Sapanang, Bungoro, Pangkajene dan Kepulauan, km 43+30
場所:Kassi Loe, Labakkang, Pangkajene dan Kepulauan, km 49+400
ここから分岐線が Tonasa セメント工場へ向かいます。(
下の図)
Tonasa セメント工場から Mangkoso から分岐した港湾 Garongkong までの貨物輸送が2022年中に開始されるとの報道がありました。(Fajar 2021-07-25)
場所:Marang, Marang, Pangkajene dan Kepulauan, km 60+800
場所:Manggalung, Mandalle, Pangkajene dan Kepulauan, km 67+8500
出典:Update Stasiun Mandalle Pangkep Punya pemandangan Tak Kalah Indah Dengan Stasiun Rammang - Rammang
240 回視聴2022/01/11
https://www.youtube.com/watch?v=McRaPk0l6S4&list=PLmA8gGKsRWA8ppygaajihDBZi53Lc_40W&index=6
場所:Tellumpanua, Tanete Rilau, Barru, km 81 + 500
場所:Tuwung, Barru, Barru, 89+ 600
2022年10月営業開始時点での旅客車の終点駅になる模様
場所:Takkalasi, Balusu, Barru, 100+ 000
場所:, Barru, 100+ Ajakkang, Soppeng Riaja, Barru, km 107 +000
Barru に建設中の Mangkoso 駅 出典:kondisi stasiun kereta api makassar-pare pare di Barru,
https://www.youtube.com/watch?v=SDrbQB7fiuw
2021/09/07
ここから分岐して港湾 Stasium Garongkong へ向かいます。 Google Mapからも線路の建設状況が見えてきます。マカッサルーパレパレの幹線道路から少し離れて茶色の線が南北に走ります。一番下には Stasum Barruと表示されています。そこから北方向へ向かって、線路は分岐し、セメントの積出し岸壁にも繋がっていて、セメントの積出しにも使われるようです。 駅名は古い資料と最近の資料では変わっています。政治的な駆け引きもあるのではと思われます。
現在急ピッチで工事を進めるジャカルタ―バンドン間の高速鉄道、あえて何もないところに駅を設け、周辺開発とセットで利潤を生みだすというのが、中国が提案した民間ベースの高速鉄道プロジェクトであるとのこと。南スラウェシ鉄道にも当てはまるのかも知れません。(2022年3月26日追記)
場所:Lumpue, Bacukiki Barat, Parepare km 128+000
場所:Ujung Baru, Soreang, Parepare, km141+750
これまでスラウェシ鉄道は中国の北車集団の唐山軌道が工事から車両調達まで請け負ってると聞いていました。しかし、今回見つけた資料では、このプロジェクトには中国、日本、ロシアが加わっているように紹介されていました。(写真)
Proyek Kereta Api Trans Sulawesi Kelompok 3 MK Evaluasi Proyek Ek. Pembangunan UPN Veteran Jakarta
1,513 回視聴 2021/10/14
さらに、いくつか気になる点もあります。レール幅はジャワ、スマトラでは 1067 mm であるのに対し、スラウェシ鉄道は 1,435 mmとなっています。スラウェシの鉄道はジャワ、スマトラと車両の互換性がまったくありません。 また速さはジャワ、スマトラでは最大で90-100 km/h 程度であるのにスラウェシ鉄道は 160km/h と記されています。しかし公開された線路の映像を見る限り信じ難い数字です。
出典:Proyek Kereta Api Trans Sulawesi Kelompok 3 MK Evaluasi Proyek Ek. Pembangunan UPN Veteran Jakarta
Copyright (c) 1997-2021, Japan Sulawesi Net, All Rights Reserved. |